2015-07-08

Girl In A Band キム・ゴードン 自伝


本国で発売されてからずっと読みたかった、ソニック・ユースのキムの自伝読了。
このブログでは率直な感想を書きたいので、詳しい本の内容については
最後のお店のページのリンク先を参照してください。

まず、この本の帯にも「女傑」って書いてあるし、わたしもなんとなく
キム・ゴードンというひとは、イメージ的に、強くて、こわくて、さばさばしている、
だからこそ、男のひと3人(あるときは4人)を従えバンドを続けていられるのでは、
そうおもっていた。これはだいたい一般的に同じ意見なのではないだろうか。
でもそうではなかったんだ。

後に統合失調症になってしまう兄から受けた、善くも悪くも影響されたことばの数々に
よって、ネガティヴでうだつの上がらない10代を過ごしたL.A.時代。
アートのシーンから音楽を始めたことで、ミュージシャンとしての自信が持てないこと。
ステージではいつも、サーストンより目立たないよう気を配っていたこと。
自分たちが書いた歌詞でも、ステージで涙なしでは歌うことのできない曲があること。
娘を連れてのワールド・ツアーがどれだけしんどいか、神経を張りつめるかということ。

でもいちばん、わたしがああ、そうなのか!とおもったのは41章からのあたり。
子どもが生まれてからN.Y.を離れ、バンド中心だった今までの生活をがらっと変え、
母としての役割を最優先に考えるようになったころからのこと。
そこに書かれているのは、結婚し、家庭をもってそれを維持していくために
だれもが悩む、パートナーとの気持ちのすれ違いや、思い違いについての葛藤だった。
わたしは子どもがいないので、子育てに関してはなんにも言えないけれど、
キムも、主婦として、同じようなことを考え日々、暮らしていたのだなあと
とても驚いた。
そして子育てと親の介護との板ばさみ、なんていう身近であり身に詰る経験も...。
音楽ファンや、N.Y.のアート・シーンを知りたいひとはもちろんのこと、
これから30代、40代を迎える、女性たちにもっと読んでほしい!というのが
いちばんの感想かもしれない。ある意味X-Girl世代はぴったりの内容かも。

夫婦のことは、夫婦にしかわからないし、本人たちにもわからないことがある。
ソニック・ユースのような、実験的な音楽をつくりつづけながらも、
パパとママ、家族を続けていた2人に、たくさんの人が勇気づけられたのは本当だ。
ただ、正式には発表されていないバンドの解散が、どうか本当にならないこと。
それを願うばかり。

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