(さすがに時代を感じさせられてつらいね!)
わたしが29のときは、熊本に住んでいた。
20代は販売の仕事をずっと続けてきたので、夜も遅いし、いそがしいしで、
「そうか、最後の1年くらいは、家のことをもうちょっとやりたいな」
なんて、やはりどこかで区切りをつけたくなり、意を決して退職。
最初のうちは、パンを焼いたり、裁縫したり、
今までやりたくてもやれなかったことを、順番にやってそれなりに充実していた。
ふつう、結婚5年にもなって、仕事をやすんだ、となると
そろそろ子どもでもできるんじゃないか、ってみんなおもっていたのかもしれないけど、
わたしがはらんだのは子どもではなくて、
「うつ」という、あたらしい自分だった。
忘れもしない、ちょうど10年前の、30歳の誕生日、
首をしめられて死にそうな痛みを感じ、病院で生まれてはじめて点滴をうけていた。
誕生日に、こんなことになるなんてひどいよ。
入院したほうがいい、と先生が大きな病院に連絡してくれたけど、
田んぼのなかの一本道を、自転車をひっぱって、のろのろ家に帰ったっけ。
だから、きょう、こうやって家にいて、まあまあ元気でいられて、本当によかった。
あれからの10年間は、「闘病」というより「学病」。
目に見える病ではないぶん、自分自身とのはなしあい、折りあい、認めあい、
そして確かめあいの作業の連続だった。
自分を責めて、傷つけ、いっぱい泣いて、そしてなぐさめ、許した。
自分を大切にする方法を、病気からたくさんたくさん、学んだ。
つらかったけど、なんて濃厚な10年だったろうとおもう。
この1年は、結婚してからいちばん、夫と一緒に過ごす時間が多かった気がする。
わたしのからだのことを考えて、今年転勤族を卒業したのだが、
次の仕事がなかなか決まらず、ばかみたいにずっと、2人でいた。
今までは忙しくて、あんまり家にいることがなかったひとなので、
まるで埋め合わせしているか、定年後の練習をしてるみたいな毎日だった。
いっぱいしゃべって、飲んで笑って、ときどき2人で泣いた日もあったっけな。
これからの10年は。
おじさんおばさん、2人でつつましく、楽しく暮らしていけますように。
やっと始められたお店を、一日でも長くつづけられますように。
感謝の気持ちを忘れずに、まあまあ元気に、年を取れたらいいなあ、とおもう。
みなさん、いつも本当本当に、ありがとうございます。
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