2013-03-08

読みメモ ピーター・バラカン「ラジオのこちら側で」



今から20年くらい前、(ええ、もう20年?驚愕!)
わたしはラジオ番組の製作について学ぶために、とある学校に通っていた。
毎週、曜日ごとの授業で、ビルボードのチャート番組を、
クラスメイトや講師のかた、DJクラスの生徒たちとつくったり、
きょうの授業はミキサー、今度はAD役でCDの入れ替え、
時にはオープン・テープに、斜めにハサミをいれて、編集したり。
自分の企画で、10分番組を構成、企画、製作までも!
今思い出してみると、案外専門的なことをやっていたもんだ、とおどろく。

そもそも、中学生のころからラジオを聴きはじめたけれど、
なにしろ、実家は富士山と箱根山にかこまれているから、電波の入りが悪く、
父にたのんで、FM用のアンテナを、屋根に立ててもらったくらい。
FM雑誌を毎月買って、番組表に赤丸をつけ、
120分のカセットテープを、3倍速でつかってエアチェックしたあと、
好きな曲だけ、また編集してお気に入りをいっぱい作った。
きっと、わたしとおんなじ年代のかたは、覚えがあるだろう。
だから、もう、「将来何の仕事をするか」とか、「大学はどうする」だとか、
まったく考えることなく、その学校へ入ったのだった。

そのころピーターは、NHK-FMやBay FMで番組をやっていたから、
はっきりと覚えているわけではないけど、たぶん番組を聴いていたと思う。
それから、わたしはラジオの世界をあきらめて、
CDを販売する仕事を選んだのだけど。

だから、ほんの少しだけ、20年前の「ラジオのこちら側」
つまり「あちら側」がなんとなく、わかる。
この本を読んでいると、日本のラジオ、とくにFMラジオの歴史や、
そのころ、どんな洋楽が流れていたか、思い出す。
彼は、音楽の好みや、かける音楽が片寄っていると自分でも言っているけれど、
日本で、ピーターがラジオを通して、洋楽業界のためにしてきたことが、
わたしのように、CDの販売をしていた人間にとっても、歴史みたいに思える。

あれからずいぶん時が過ぎた。みんな、ラジオ聴いてるかい?

転勤で九州から帰ってきてから、横浜に住んで、
またラジオをよく聴くようになってからは、
毎日の習慣のように、ピーターの声を聴き、彼の選んだ音楽を聴いている。
懐かしい曲、なじみある曲、そしてわたしにとって新しい曲。
地デジ化で、テレビを観るのをやめたので、
朝起きたらまず、ラジオのスイッチをいれて、
「バラカン・モーニング」を聴きながら朝ご飯、の生活だった。
(「バラカン・モーニング」は終わって、日曜日の夕方「バラカン・ビート」が復活)
土曜日の朝も、NHK-FMの「ウィークエンド・サンシャイン」ではじまる。
ラジオは、知らない曲、自分が選んでいない音楽と出会えるところが、いい。

4月から、また番組の改編があるけれど、
新しく、いい番組をいっぱい用意している、とのこと。
(今、彼はInterFMの役員として、番組編成にも参加)
春からのあたらしいラジオの時間が、楽しみだ。

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